令和四年三月二十七日
神奈川県南足柄市にある夕日の滝での滝行は、当山では毎月行う恒例の修行です。 開催する際には午前六時と早朝に行いますので、来ることのできる人は限られてしまいますが熱心な行者さんたちは自身の修行のため朝早くから滝場に駆けつけます。中には三時頃に家を出るという方もおられます。 なぜこのような早朝に滝行を行うのかと問われれば、心を落ち着けて集中して行を行うためです。特に夕日の滝はキャンプ場が併設されており、観光地としてもよく知られています。そのためできる限り早い時間に滝修行を行う必要があります。加えて、早朝であればまだ太陽も登りきらない時間。水温も低く、より一層身を引き締まります。 当山では行者の健康を鑑みて、一般行者の参加を11月から締め切っています。冬季は私自身と当山の得度者の修行のために行うに留めていましたが、来月からは滝行の指導を再開してまいります。滝行に興味のある方は遠慮なくご連絡ください。共に修行することができればうれしく思います。 さて、本日の滝行は気温こそ12度程度とだいぶ暖かくなってきているものの、水温は非常に冷たく、足を入れた瞬間には冷たいというよりは体の芯に痛みを感じるようです。
「滝行は心身の修行であると同時に、心を一点に集中する祈りの行である。」
滝行をする人の多くはスッキリしたなどの感想を持ちます。これは日常生活の中で溜め込まれた不浄なものが滝に打たれることで洗い清められることで生まれる感覚です。様々な悪因にまみれた娑婆世界で暮らす我々にとって、この滝修行はより善く生きるための実践でもあるのです。 加えて、一心に祈ることのできる修行法でもあります。滝に入ると様々な雑念を一切捨て去ることができる。その中でこそより純粋な祈りを行えるのです。
今日の滝行ではまず自身を清める行を行い、その後で滝に打たれながら般若心経を唱え、世の中の平和と人々の安穏を祈る行を行いました。
今の乱れた世の中において、私達ができることは、一日も早くこの災禍が収束するよう神仏に祈ることだと思います。
普段から勤行されている方は平和への祈りを一言付け加え、普段祈ることのない方は思いついた時、今この瞬間でもよいので世界が平和になりますようにと心の中で唱える。これだけでよいのです。
その積み重ねで世の中を変わっていきますし、みなさん自身も良い方向に向かうことができます。共に精進してまいりましょう。
合掌
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